
京の奥座敷 湯の花温泉
癒しの湯とおもてなし

癒しの湯とおもてなし
京都・亀岡湯の花温泉で三代続く老舗旅館「すみや亀峰菴」の女将。
亀岡観光協会の理事も努め、地域の発展に力を注いでいる。
*湯の花温泉 Web http://www.yunohana-onsen.com/
湯の花温泉の起源について
教えてください。
昔の文献によるとここには関所があり、戦国武将が湯治に利用したと記されています。その後、温泉地としては途切れてしまったようですが、私の先々代の時代になって、オレンジ色の水が小さな小川のように流れているのを見たそうです。
そこは「湯の花」という地名の場所だったので、「ここには何かあるだろう」と専門家に調べてもらうと、その水は鉄分を含んだ「天然のラジウム温泉」ということがわかりました。
そのことをきっかけとして、昭和30年に当館を含めた3軒が温泉を引き込み、旅館業を始めたのが「湯の花温泉」の起源になります。
平成19年には「湯の花温泉」の名前で地域団体の商標登録も行い、組合が設立してからは55年ほどになります。京都の中でも歴史のある温泉郷なのですよ。


湯の花温泉はどのように発展していったのですか?
もともと近場の方に親しまれていた温泉地でしたが、昭和30~40年代になると、秋の松茸狩りシーズンにたくさんの観光客が訪れるようになり、まちが賑わっていたのを覚えています。
さらに、昭和45年に開催された大阪万博(日本万国博覧会)も、湯の花温泉が大きく発展したきっかけのひとつです。万博開催に向けて、宿泊施設が必要な時期だったこともあり、一気に宿が増えて、全国から宿泊客が訪れるようになりました。
最近は海外からのお客さんも急激に増えているのですよ。WEB検索で「京都」「温泉」というキーワードで調べて来ていただいてるのかなと思います。京都市内から近い温泉地というのも恵まれていますね。
現在はそれぞれ趣向の違う個性豊かな6軒のお宿が「湯の花温泉」の看板を掲げて頑張っています。「湯の花温泉」という名前で各宿が一体となり、もっと全国の皆さんに認知されるようにならないといけないなと感じています。





組合としてはどんなPRをしていますか?
湯の花温泉ブランドを全国に広めるため、化粧水『京都湯の花温泉みすと』の開発をしました。湯の花温泉の中性の湯はお肌に無理をさせないやわらかい泉質で、100%湯の花の温泉水だけで作った化粧水は女性に好評です。
また「新しい名物を作ろう」と、市民の方からアイデアを募集して『黒豆どら焼』を商品化しました。女子高校生が考えた作品を採用し、地元・丹波の大粒黒大豆が丸ごと1個入っています。
さらにロゴマークも作って、キャンペーンの時にはマークの入ったうちわを配ったり、クリアファイル、手ぬぐいを販売して認知度を上げるためのPR活動に励んでいます。
湯の花温泉に来られたお客様に対しては、「おもてなし」の演出ということで、沿道にききょうやあじさいなどを植えています。ききょうは亀岡の領主だった戦国武将・明智光秀の家紋で、6月頃が見頃です。今後は湯の花温泉のシンボルになるような行灯の設置も予定しています。
また、湯の花温泉の旅館内や周辺で撮影した写真を募集する「あったかフォトコンテスト」も行っていますので、もっとたくさんの方にどんどんと足を運んでいただいて「湯の花温泉といえば、京都・亀岡」となるように知名度を上げていきたいですね。
特選に選ばれると『湯の花温泉ペア宿泊券』を贈呈いたしますので、皆さんもふるってご応募ください。今年の「フォトコンテスト」は12月末まで募集しています。詳しくは湯の花温泉のホームページをご覧ください。
亀岡・湯の花温泉の魅力は?
温泉街には娯楽施設が何もないと言えば何もないのですが、静かな分、じっくりと温泉に入ってゆっくりしていただけるのかなと思います。季節それぞれの風景が楽しめますし、時間を忘れて過ごす贅沢なひとときは魅力のひとつですね。
それに昔から亀岡は京の都にお米や穀物、京野菜などを供給していた、いわば「京都の食物庫」でした。現在もその文化は残っていて、旅館でお出しする料理は地元の食材を使っており、無添加で新鮮な地の味をお楽しみいただけます。
また、京阪神から車で1時間ほどで来れますし、都会からすぐの場所にも関わらず、温泉につかって心も体もゆったりしていただけるとてもよい所だと思います。
おすすめの場所を教えてください。
大阪から亀岡へ抜ける「摂丹街道(国道423号線)」沿いの山々は、山桜や新緑、紅葉などが本当に美しいですし、丹波國一之宮の「出雲大神宮」からは亀岡の盆地が一望できるので私のお気に入りの場所です。
また、6月にはホタルが見られるスポットをご案内できます。ホタル観賞は大変喜ばれるお客様が多いので、この時期に合わせて来ていただくこともおすすめします。
京阪神などの都会から来られる方にぜひ寄っていただきたいのは、地元の農家が出されている野菜直売所ですね。湯の花温泉の周辺に何箇所もあって本当に新鮮なので、次の日にお土産として買って帰られると喜ばれますよ。
ぜひ京都観光の宿として、湯の花温泉へお越しください。
(取材:平成27年2月)

