丹(まごころ)の里へ
風土が育むブランド食材

丹波市観光協会 会長
柳川 拓三さん    やながわ たくみさん

地元で丹波の特産品を使った和洋菓子店を経営。
美味し産物を育む丹波の風土に熱き思いを寄せる。
*丹波市観光協会 Web http://www.tambacity-kankou.jp

丹波市の特徴ってどんな所ですか?

平成16年に兵庫県旧氷上郡(柏原町・氷上町・青垣町・春日町・山南町・市島町)が合併して誕生した丹波市は、各6町が特徴ある町づくりを進めています。最近では国内最大級の大型草食恐竜「丹波竜」の化石が発見されたことでも有名になりました。核となる観光名所はありませんが、各町には隠れた名所が点在しているので、それらを周遊してもらう仕掛けが丹波市の観光にとって大切だと考えています。

周遊観光とは具体的にどんな観光でしょうか?

秋の恒例となった「丹波もみじめぐり」は、丹波市の観光を考える上で大きな方向性を指し示す企画でした。元々、市内にある高源寺、石龕寺、円通寺は「丹波紅葉三山」と呼ばれ、たくさんの観光客が訪れていました。当初はこの三山で紅葉を売り出したのですが、しかし、観光資源の掘り起こしをすると、三山以外にも紅葉の名所となる仏閣が市内に点在することが分かりました。現在では10社寺にまで増え、毎年、スタンプラリーを開催しています。さらに、異業種間の交流を深めるためパンフレットに飲食店や土産店などを掲載し、観光客の皆様には少しでも長い間、市内の各所を周遊してもらえるように工夫しています。

また、近年では丹波の魅力にふれた方がこちらへ移住し、仕事する「iターン」の方が増えているんです。そのひとつにあげられるのが「手打ちのそば屋」です。店主のみなさんが連携して「丹波そば街道」を結成し、そば巡りを楽しむ活動もされています。 今後も「点」を「線」で結ぶ周遊型観光で、たくさんの人に市内を巡ってもらいたいと考えています。

丹波市の魅力を教えてください。

魅力は「人」だと考えています。「丹」と言う字には「赤色」の他に、「まごころ」の意味があります。市のキャッチコピーも「丹(まごころ)の里」としているように、おもてなしの心が感じられる場所だと思います。自然豊かな里山が広がり、言葉もやわらかい土地なので、ほのぼのとした田舎ならではの時間を過ごしてもらえる場所です。他にも「丹波霧」に代表されるような風土が生み出す季節ごとの景観や食材も魅力の1つですね。

柳川さんが思う丹波市の自慢は何ですか?

やっぱり私は本職がお菓子屋なので、食材に目がいきますね。丹波の食材の話なら、何時間でもお話しできますよ(笑)。大丹波エリアには「丹波黒大豆」「丹波大納言小豆」「丹波栗」「丹波松茸」をはじめ、丹波と名が付く食材がたくさんあります。これって本当に凄いことだと思いませんか。これらは全て丹波の風土が育てたもので、この地域の豊かさを象徴するものだと思います。また、名前が付くということは、ブランドとして外部から認められていることの証しなんです。しかも、ブランドになるまでには生産者の並々ならぬ努力があったことも忘れてはいけません。この丹波のブランド食材をもっともっとアピールしていくことが、生産者の励みにもなるし、地域の発展につながると思っています。

本業では丹波産の食材を使った
スイーツを開発されていますよね。

明治24年、丹波の特産物を扱う店として創業しましたが、私の代になって生産者の声を聞くうちに、丹波の特産物を使ってもっと地域に貢献できないかと考えました。地元では一次産業がメインでしたから、昔は1年を通して丹波産の食材を食べられる場所が少なかったのです。そこで特産品の加工業を手がけた後、お菓子なら年中販売ができると、さらに平成17年には特産品を使用した和洋菓子製造・販売のお店をオープンしました。おかげさまで自社加工した丹波栗を贅沢に詰め込んだ「和のモンブラン」は、兵庫県の優れた特産品に与えられる「五つ星ひょうご」に認定。さらに昨年に開催された農林水産省公認の「JAPAN FOOD FESTA 2013」の「地場もん国民大賞」において、全国800以上ある「地場もん」の中からなんと最終審査まで残るという高い評価を受けることができました。これからも美味し(うまし)産物を育む誇り高き地域の風土を大切にしていこうと思っています。

(取材:平成26年2月)

※掲載している記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

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