絵本と人を結ぶ
素敵な空間づくり

絵本ちゃん 代表
谷 文絵さん    たに ふみえさん

絵本のお店「絵本ちゃん」を一人で切り盛りしている。
店名の由来は自身の名前の「文」と「絵」から。
*絵本ちゃん Web http://www.ehonchan.net/index.html

絵本ちゃんをオープンされたきっかけを教えてください。

もともと京都市内の絵本屋で働く傍ら、週に2日この質美小学校の図書室の読書指導員をしていました。
ですが、時代の流れでこのまちもだんだん寂れていって、質美地区の中心であった小学校もついに2011年に閉校してしまうことになりました。
子ども達が出入りすることで地域の元気を担っている場所でもあったので、子ども達の姿や声が聞こえなくなるのがすごく残念で、この元小学校舎を活用したいという気持ちになりました。

私が、ここで人を迎え、おもてなしするのに出来ることって何かなと考えた時に、やっぱり絵本!!って。
絵本を通して子ども達や小さいお子さんを持つお母さん達の集える場所になってほしいな。という願いも込めて、2012年の5月5日(子どもの日)にオープンしました。

谷さんにとって絵本とは?

絵本というのは赤ちゃんや子どもの教育やしつけのために、と思われる方もいらっしゃいますが、一番身近な親と子どもをつなげるコミュニケーションのツールであっておもちゃの一つなんです。言葉の意味はわからないけど赤ちゃんの時から絵本を読んで聞かせてあげることによって、大好きな人の声を聞く心地よさであったり、同じものを見て共有する楽しさや豊かな時間を過ごせます。それを大切にしてほしいですね。

絵本は読んでもらうものやと私は思っているんです。
字が読めるお子さんでも絵本は読んであげてくださいねっていつもお伝えしているんです。こんなに小さな紙の中に、いろんな世界が広がっていて、おはなしを聞きながら、描かれている絵をたっぷり楽しめ、思いっきり疑似体験ができるんです。
そんな想像力が、相手の気持ちを思いやることにもつながっていくと思います。
身近な人と、仲良しと、初めて一緒に聞く人達と一緒に、絵本の中の世界を楽しんでほしいと思います。

また、絵本は子どもの読むものだと思われがちですが、作家の柳田邦男さんも「大人こそ絵本を」とおっしゃっているように、どんどん大人の方にも見てもらい読んでもらいたいです。
短い言葉の中に深みがあって、大人やからこそ捉える視点や意味であったり、昔読んだことのある絵本から再発見したりするんですよね。

木造校舎もすごく雰囲気がありますよね。

昭和35年に建てられた木造校舎なんですけど、ほぼ当時のまま残っていてそれも素敵やなぁと思っていて。絵本ちゃんの椅子や机もこの学校の図書室でずっと利用されてきたものをそのまま使わせてもらってます。こうやって引き継いで使うことも、卒業生の方達がふらっときて懐かしい気持ちになってもらえるし、すごく意味のある事だと思っているんです。ここで何十年ぶりの再会があったり色んな人間模様もあったりして、便利にしない方が逆に新鮮で、そこから会話が生まれる。
それがここの魅力でもあると思うんです。
この教室たち、校舎もきっと喜んでいると思います!

 

 

 

 

 

絵本ちゃんを始めて
何か感じたことはありますか?

この閉校施設利用の最初は、私だけのスモールスタートだったんですけど、それがきっかけになり、次々とカフェやショップなどが増えて、現在貸し出しの部屋はすべて埋まっています。
そうやってコミュニティの場が増え、選択肢が増え、賑わってきたことは、やって良かったなと思います。
また、雑誌やTVに取り上げてもらったりすると、質美を離れた都会に出た人達が「ここの卒業生なんです」とか「何十年も帰ってないけど帰りたくなった」とご来店いただいたり、初めて来られたお客さまからは、質美の良さを客観的に教えていただけたり・・・と色んな人達との出会いが増えたことが、大変嬉しいです。
そういう出会いを経験すると、私がしたいと思ってた事は間違ってなかったのかなとかえってお客さんから教えてもらっています。

今後の夢について教えてください。

来られるお客さまから「時間を忘れるくらい心地良い空間ですねぇ」という声をよくいただきます。もっともっと利用者さんの声を聴き、希望される施設に、地域になって行けば良いなと思います。
この施設や活動を通して、若い世代の田舎に対する意識を変えるきっかけにしたいし、変えたいと思っていて、これからの子どもたち若者が、活き活きと楽しく暮らしていける地域にしていきたいです。
質美は、名前の通り自然豊かで美しく、農作物も美味しい、人も善し。
IターンUターンを大歓迎するとともに、生まれ育った質美を愛し、そこで新しい家庭を築き子育てしたいと思う子ども達を育てたいです。

(取材:平成26年11月)

※掲載している記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

こんな人たちとつながっています

  • 黒井城から丹波市を全国へ!
  • 鶏と共に生きる
  • 「想い・こだわり」を最大限、カタチにする。
  • 老舗酒造の若き4代目が造る日本酒で乾杯!
  • 64本のボビンが魅せる世界
  • 夫婦二人三脚で作り出す
    ガラスのぬくもり
  • 自分の生き方を貫き通し、
    茶の魅力を伝えたい