
次世代へ繋げる
ドッコイセスピリット。

ドッコイセスピリット。
市内で呉服店を経営しながら、福知山踊振興会会長を務める。
福知山踊りの伝統を守り続ける。
福知山踊振興会はどのような活動をされているのですか。
福知山の伝統郷土芸能・福知山踊りは、今から400年以上も前、明智光秀が福知山城を築く際、領民たちが「ドッコイセ」「ドッコイセ」と石材や木材を運ぶのにあわせ、手振り足振り、おもしろおかしく踊りだしたのが始まりと言われています。その後、幾多の変遷をたどりながら、今の福知山踊りの型となり、現在では、市の指定民俗文化財になっています。
福知山踊振興会では、そんな福知山踊りの伝統を今後も引き継いでいくため、様々な活動をしています。現在会員数は約90名で、教育機関や福祉施設を中心に講師派遣をし、踊りについての講義の実施や、ありがたいことに様々なイベントにて踊り出演・指導をさせていただいております。さらに教室も開いています。教室は踊りだけでなく、三味線教室・唄教室・尺八教室・太鼓教室も実施しているんですよ。


福知山踊りの魅力を教えて下さい。
「伝統ある、日本一難しい盆踊り」
これは、最近私が福知山踊りのキャッチコピーとしてよく使っている言葉です。福知山踊りは古くから引き継がれ愛されており、その振り付けは16もの手数で構成されています。盆踊りでこれだけの振り付けがあるのは、大変珍しく数少ないものなんです。
難しい踊りではあるのですが、ただ単に難しいだけではなく、脳の活性化や認知症予防に非常に効果的だということが科学的に実証されたんです。それが、インターネットや口コミで広がったことがきっかけで、ロンドンでも踊られることになったんですよ!イギリスの文化オリンピックの一環行事「ビッグ・ダンス」のなかで、福知山踊りをワークショップとして取り入れたいという話がきましてね。初めてその話を聞いたときは、「ロンドン!?」とさすがに驚きましたね。(笑)




会長が思う福知山の魅力は何ですか?
私は二つの大きな魅力があると思います。
一つは、災害が多く、復興を繰り返したことによる「潜在能力=ドッコイセ力」の高さがいえると思います。福知山踊りをとってみても、ここまで何百年も引き継がれてきたのには、福知山市の人々が持っているその“ドッコイセ力”があったからこそではないかと思うのです。
二つ目に、「人づくりの教育力」が挙げられると思います。福知山市には高等学校が7校と、この周辺では多く、大学もあります。さらに、自衛隊の駐屯地もあるため、他市町から福知山へ多くの若い方が学びに来てくれているんです。そういった人たちとの関わりやネットワークの広がり、交流人口の多さが魅力の一つではないかと思います。
今後の目標を教えてください。
目標や展望について聞かれたときにはいつも言っていることなんですが、富士山という山がありますよね。富士山は高さが日本一として注目されていますが、私はその高さ以上に“裾野(すその)”の広がりに着目したいのです。富士山の日本一の高さを支えているのは、この“裾野”なんです。
福知山踊りは誰もが憧れる素晴らしい踊りであると思っていますし、そういった踊りとして今後も継承していきたいと考えています。そのためには、福知山踊りも富士山と同様、“裾野”をどんどん広げていかなくてはいけないと思っています。そういった活動の一つとして、今年「ドッコイセハイスクール事業」というものを始めたんです。今年は福知山淑徳高等学校とコラボレーションをさせていただいています。
こういった形で、次世代の若者に福知山踊りを伝えていく、さらには、福知山踊りのような伝統的なものと、次世代の方々がどうすればうまくコミットしていけるのかについて、一緒になって考えていくことが、“裾野”を広げていくことに繋がるのではないかと考えています。
(取材:平成27年11月)

