とうとうと
生き続ける村を創る!

株式会社ユ・メ・ミファクトリー 代表取締役
マリーさん   

京都市出身。絵やデザインに魅了され、美術系の学校へ進学。卒業後、デザイナーとして大手量販店デザイン室へ入社。その後、独立。一時は結婚、子育てのため、仕事から離れていたが、各種方面からのオファーにより現場復帰、(株)ユ・メ・ミファクトリーを立ち上げる。
株式会社ユ・メ・ミファクトリーHP https://www.yumemi-factory.com/
ドゥリムトンビレッジHP http://www.dreamton.co.jp/

株式会社ユ・メ・ミファクトリーの事業について教えてください。

事業としての大きな軸は、ヨーロッパのカントリーサイドの建物を作製し、日本だけでなく、世界中にデリバリーを行っています。

なぜヨーロッパのカントリーサイドの建物を?

育ってきた環境が全てだと思うんですね。私は京都市の西陣で育ちました。父も叔父もずっと手機を織っていて、その音を子守歌のように聴きながら、古い水屋やおくどさんがあるような場所で当たり前のように育ってきて、だけど、大人になってから、自分はとても価値のある文化の中にいたんだということを顧みることが多くなってきたんです。ヨーロッパのカントリーサイドでは、窓辺のカーテンを外側に向けて飾ってみたり、そこに住んでいる者のスピリッツ、心意気っていうものを、見せつける文化があって、こうした文化っていうのは、京都の町屋とイコールな部分があると思うんです。古いものを大切に使うという面でも同じです。いわゆるアンティークですよね。やっぱりそういうところに響き合ったんじゃないですかね。昔、ヨーロッパを訪れてその文化に触れたとき、「あー帰ってきたな」というような錯覚を覚えました。古き良き歴史を引き継いでいくっていうのは私たちにしかできないことですし、そう思ったのがきっかけですね。

ここ、ドゥリムトンビレッジとは?

このドゥリムトンビレッジは私たちの仕事の集大成というか、“終わらない仕事”だと思っています。私たちの事業としての大きな軸を、少しずつでも知っていただける場所を作っていけたらということで、手がけました。ここの村はドゥリムトンと言うんですが、“~トン”てイギリスでは多いでしょ?“~トン”っていうのは、「人々が集まった、ものの始まり」っていう意味なんです。ここはドリームで「夢の始まる場所」なんですね。

宿泊やウェディングまで出来るんですね!

はい。イギリスの田舎がそうであるように、そこには教会があり、人が生まれ、人が死んでいく、そして人が集まり、市場ができて、という風に一つの村になっていく。ですので、教会は不可欠ですし、本来は、教会から作っていくべきだったんですが、やっぱりお仕事として人に知っていただき、口コミ等で広げていっていただくために、レストランを最初に立ち上げました。その次に教会です。そして、その周りに村並みを作っていこうということで、宿泊ですね。イギリスの小さな村には、B&Bですとかカントリーハウスは必ずありますし、そういった本物のイギリスの小さな村っていうものを、この日本で確立できたらなと思っています。

マリーというお名前の由来は?

マリーというのは、実はお客様が名付け親なんです。名刺をお渡ししたときに、「つまらないなー、こんな夢のあるお仕事してるんだから、もっと遊ぼうよ」みたいな、とても遊び心がある方で、その方が命名なさったんですね。それ以降は、テレビでご紹介いただくときも、「マリー」と紹介されますし、会議でも年配の方には「マリーちゃーん」とお声がけいただいてます。笑

でも、そこって大事だと思うんです。誰もが大人になって忘れかけていたものを呼び起こす部分と、社会の中でどこまで許されるかというか、雰囲気を和ませるには、とてもいいツールだなと思います。ここで働いている方たちに対しても、インスピレーションで命名させていただいております。最近、命名しすぎて、既にある名前をつけちゃったり、もう浮かんでこないんですよね。笑

なぜ亀岡市にイギリス村を?

こちらは、行政からの絡みで紹介していただいたんです。亀岡市の方に連れてきていただいたんですが、何十年も放置されていた塩漬け土地ですし、市の方たちは「こんな所はたぶん嫌や言いはるやろな」と思っていたそうです。お水もないですしね。でも私たちは、もっともっと田舎でもいいと思っていましたし、人が全然いない場所に人を集めるということがある意味楽しみではありましたし、水が無ければ、井戸を掘るっていうのは必然的な問題だったので、ここでやらせていただくことにしました。しかもそれがいまや最大の売りになっているんですよ。ここの井戸水って硬水なんです。そのおかげで、どこよりもイギリスに近い最高の紅茶が提供できています。なので、茶葉を購入して帰っていただいても、「なんかお店で飲む方がおいしい」とおっしゃるのには、そういうところにも秘密があるのかもしれません。この紅茶を飲むにはまた来ていただくしかないですよね。それって、すごく大切で、いかにリピートしていただくかっていう仕掛けが田舎では非常に大切だと思いますね。一過性ではみなさん来られるんですよ、「テレビで見たから」と。でも、一瞬です。そういう方たちが一回通り過ぎたらもう廃れていくしかないんです。だからこそ、テーマパークでもランドでもない、“とうとうと生き続ける村”っていうのを最高のコンセプトにしています。流行りで何かを作っては絶対だめなんですよね、廃れていくしかないので。

マリーさんが思う亀岡市の魅力は何ですか?

非常に歴史が深い場所ですし、市民の方々もみなさん自分の町の歴史をすごく宝にしていらっしゃるように感じます。京都の大事な一部、“なかなかすごいぞ亀岡市”みたいなキャッチフレーズかなと思うんですね。

また、この西別院というところは、亀岡の中でも田舎の田舎で、亀岡市にお住まいの人でもなかなか来ないというエリアなんです。はじめは「こんな所で商売なんか無理だ」と周りからよく言われていましたが、実際できていますし、こういう所でやらせていただいていると、小さい町ならではの良さっていうのは感じることが多いですね。やったらやっただけ、やらなければそれまでなんですが、いろんなことに首をつっこませてもらえるというか、繋がっていくチャンスというか、そういったものに溢れている気がします。まだまだ眠っているところがいっぱいある不思議な宝箱みたいな町ですよね。

今後の展望や目標をお聞かせください。

ユ・メ・ミファクトリーとしては、ヨーロッパのカントリーサイドのものを作り続けて、十数年やってきているんですが、この亀岡に出会ったことで、今度“和”への展開を計画しています。日本昔話のような、鎌倉から江戸のような雰囲気を味わえる、和のレストラン“峠茶屋”。来年の夏までにはグランドオープンしたいと考えています。日本人はもちろん、外国人の方にも大変喜んでいただけるものになると思います。乞うご期待ということで。笑

(取材:平成28年12月)

※掲載している記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

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