世界が認めた名勝
絶景を望む保津川下り

保津川遊船企業組合 代表理事
工藤 正さん    くどう ただしさん

個性豊かな船頭をまとめる、保津川遊船企業組合の代表理事。
400年の伝統を受け継ぎ、安全な運航管理に日々努めている。
*保津川下り Web http://www.hozugawakudari.jp

「保津川下り」の歴史について
教えてください。

「川下り」というのは、保津川の水流を利用して下流にある京都・大阪に物資を輸送することに始まった言葉で、慶長11年(1606)に、京都の豪商・角倉了以によって水路が開かれたことに始まります。これにより丹波地域の米・麦・薪炭なども高瀬舟で輸送されるようになり、京を結ぶ重要な流通ルートとして発展しました。しかし、明治に入り、物流の主役が鉄道に移ると、保津川の水運も危機を迎えました。ところが保津川峡谷の自然は美しいと、明治28年頃から、遊船として観光客を乗せた川下りが始まりました。この頃は庶民がレジャーに出かけることも少なく、乗客には京都を訪れた外国人が多かったそうです。ヨーロッパの王族が乗船されたとの記録も残っているんですよ。

始めは外国人に評価されたんですね。

外国人が素晴らしい景観と評価するんですから、当時の人は観光の舟下りで江戸時代から続く操船技術を残していけると考えたでしょう。「世界の名勝」として認知されたことが、今日の「保津川下り」の基礎を築いたと言えますね。

保津川下りの魅力はどこにあるでしょうか。

400年前から受け継がれてきた船頭の操船技術も見てもらいたい所ですが、中々伝わりにくいんですよね(笑)。やっぱり保津川峡谷の四季折々の景色を楽しんでもらいたいです。季節によって一変する谷間の景観と巨岩、奇岩が織りなす自然美。人工物がほとんどない昔ながらの景色は感動の一言です。また、終着点が日本有数の観光地である京都・嵐山であることも魅力の1つでしょうね。

船頭もされていた工藤さんが
1番好きな季節はありますか。

春の桜、秋の紅葉とおっしゃる方が多いですが、私はゴールデンウイークを過ぎた頃の新緑の季節が1番好きですね。渓谷に映えるまばゆいばかりの新緑は本当に気持ちがいいものです。山々が生きていると感じる瞬間に立ち会えるんです。ちょうどその頃には紫の藤の花が咲き、優雅な景色を楽しむことができます。もちろん冬場もお座敷暖房船があって、雪景色を見ることができるので、1年で何度来て頂いても違った景色を楽しむことができます。年間を通してリピーターの方が多く、中には1ヶ月に2回も乗船して頂いている常連さんもいらっしゃるんですよ!

船頭さんの語りも
魅力の1つだと思うのですが…。

現在、130人の船頭がいますが、それぞれにキャラがあり、アドリブを入れた語りは人気を呼んでいます。中にはファンがいる船頭もいるんですよ。1人前になるには6年ぐらいかかり、技術の継承は安全運航を行う上でも大切な要素となっています。そのため、定年は75歳なんです。一見力任せに見えますが、体力のない船頭さんには熟練したテクニックがあり、その華麗な棹(さお)さばきをぜひ見てほしいですね。

保津川の新しい楽しみ方も
提案されていると聞きましたが…。

保津川をより体感してもらうため、「ラフティング」を始めました。川の流れに身をゆだね、時には激しく水しぶきを浴びる「ラフティング」は若者やファミリーにおすすめです。ひと味違った「保津川下り」が体感できるはずです。また、「京馬車」と連携して、帰路は本物の馬車に揺られて、川沿いの野原をトコトコ戻る「馬車体験」ができるコースもありますので、ぜひご参加ください。
今後は修学旅行生を対象にした「プチ船頭体験」も積極的に受け入れていきたと考えています。安全な舟溜りで体験してもらうことで、「保津川下り」をまた違った観点で楽しんでもらえると思います。後々には大人になって「修学旅行で船頭体験をしたんですよ」と、また遊びに来てくれればうれしいですね。

最後に「保津川下り」に訪れる人へ
メッセージをお願いします。

亀岡から京都・嵐山までの16キロを約2時間で下る豪快な川下り。日本でも珍しくなった舟下りの魅力を感じてもらうには、実際に乗ってもらうことが1番です。ぜひ自然とふれあえる舟旅にお越しください。

(取材:平成26年2月)

※掲載している記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

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