自分の生き方を貫き通し、
茶の魅力を伝えたい

綾部市茶生産組合連合会会長
中田 義孝さん    なかた よしたかさん

昭和24年綾部市生まれ。地元の高校を卒業後、2年間静岡の茶業試験場の研修生として茶業を学ぶ。その後綾部に戻り、茶業を中心とした農業一筋48年。

有限会社 両丹いきいきファーム代表取締役。岡倉製茶場 代表。
株式会社 綾碾 代表取締役。JA京都にのくに茶部会 部会長。
京都府茶生産協議会 副会長。

今年の全国茶品評会でかぶせ茶の部で1等1席おめでとうございます。かぶせ茶とはどんなお茶ですか?

お茶といってもいろいろな種類がありますよね。紅茶も緑茶もウーロン茶も元々は同じ樹から採れるんです。それを栽培・製造する過程で紅茶になったり緑茶になったりウーロン茶になるっていう話をすると、半分くらいの人が驚かれます。茶の葉には元々旨味成分があって、それが太陽の光に当たると渋みの成分に変化するんです。だから太陽の光に当てずに作ると旨味の強いお茶ができます。20日間ほど覆いをして作られるお茶が「玉露」です。そしてその茶っ葉を揉まずに乾かして石臼でひくと「抹茶」になります。「煎茶」は、渋く苦みがあって爽やかなお茶です。「かぶせ茶」は煎茶の渋さや爽やかさ、そして玉露の持つ旨味とのちょうど中間のお茶です。我々は綾部の特性を活かしたかぶせ茶部門で40年以上全国や関西地方の品評会に出品し続けています。全国の品評会の過去10年間をみても、同じJA京都にのくに管内の綾部・舞鶴・福知山で10年連続産地賞を獲得しています。お茶を作るからには、大臣賞を取れるような茶の産地にしたいと思ってやってきたので嬉しいです。

お茶づくりで苦労するところはどんなところですか?

お茶は苗を植えて1人前に成長するまでに時間がかかるんです。苗を植えてから収穫できるようになるまで5年くらいかかります。ただ5年待てばいいというわけではありません。その間に雑草を取ったり薬剤を散布したり肥料をやったりしないといけません。一旦茶畑にすると管理の仕方で出来が変わってきます。植えた圃場(ほじょう)の土壌条件によっても差が出ます。この圃場がだめだったから次に行けばいいというわけにはいかないのです。また5年間辛抱しないと結果が出ないのですから。他の農産物なら3~4ヶ月で収穫できるけれど、それができないところに茶栽培の難しさがあります。でも、それができないからこその強みもあります。他の人が明日茶を植えたとしても、茶を作り続けている農家に追いつくまでには長い年月がかかります。だからいい茶畑を持っていることは財産なんです。

両丹いきいきファームとはどのような法人ですか?

2000年以降、高齢化などで農業が衰退していくようになり、後継者が減少し、産地が先細りしていきました。これからどうなるのかという不安の中、先輩たちがこれまでやってきた茶業を次の世代へ引き継ぎ、この地方の特産である茶を継承していきたいという思いで有限会社を設立しました。耕作できなくなった茶園を受託して茶を作り、そこで雇用を生み出し、次の時代へ生き残っていける茶園にしていくことが重要だと考えました。現在は管理茶園8ヘクタールで産地の維持に努めています。茶の農閑期には「紫ずきん」や季節野菜を栽培・販売することで雇用の安定にもつなげています。

あやべ特産館では「綾茶cafe」をプロデュースされていますが、なぜカフェを?

特産館がオープンしてもうすぐ4年です。綾部の茶を楽しんで飲んでもらえるようなことをしてみないかと言われ、カフェでは玉露体験や抹茶を使ったスイーツを提供しています。

1番の人気は地元の抹茶を使ったソフトクリームで、年間通してよく出ます。でも、せっかくなので玉露を召し上がってもらいたいです。玉露といえば高級だというイメージを持たれますが、まずは試しに飲んでみてください。玉露は甘みが強く繰り返し飲めるので、2煎目、3煎目と1煎目とは違った味わいが楽しめます。葉っぱが柔らかいので、お茶を楽しんだ後は茶っ葉を食べることもできるんです。ドレッシングやポン酢を付けて食べるとおいしいですよ。地元の小学生も「おいしい」と言って食べてくれます。

急須でお茶を飲む人が少なくなりましたよね。

食生活が変わってお茶の飲まれ方も変わってきましたよね。家庭において急須でお茶を飲まなくなってきていることでやはり消費は落ち込んでいます。一方で抹茶の消費は伸びています。ただ、茶道で使われる抹茶の消費が増えているのではなく、お菓子などの食材として抹茶が使われる量が増えています。あとは、海外への輸出が少しずつ増えて国内の消費の落ち込みを抑えようとしています。今後は消費につながるような産業化にしていかないと生き残るのは難しいと思います。そんな思いもあって、この場所でゆっくりお茶を味わってもらいたいです。飲んでみておいしかったと思ってくれる人が増えたら消費につながっていくのかなと。ここでそう思う人が僅かでも、それが舞鶴・福知山・京都府全体・日本全体に広がればすごい力になりますよね。お茶を楽しんでもらえる場所を作れば新しい形でのお茶の飲み方も提案できます。それが大事だと思っています。

コーヒーの飲み方がインスタントから本物志向に変わってきているように、お茶も水分補給としてではなく、時間的な余裕を持って「自分で入れて自分で楽しむ」「自分が入れたお茶を人に出して喜んでもらう」。そういうふうになったらまだまだおもしろいと思います。

綾部市の魅力を教えてください。

地元に住んでいるとよくわかりませんが、人間性に魅力があると思います。おっくうがらずに新しいことに挑戦する姿勢。過去ばかり見ているのではなく、先を見て行動を起こしていく人が多いのではないでしょうか。実際、前向きにチャレンジしていく人がいろいろな分野で活躍されています。

今後の展望や目標をお聞かせください。

やりたいことは次から次へ出てくるんです。でも、いつまでも夢ばかりを追いかけている訳にもいかない。どこかで着実な歩みをしないといけないという意識は持っています。なので、今やっている仕事を次の世代へ引き継いでいく活動をしたいと思っています。これから農業・農村地帯を背負っていく若い人材に僕の経験や持っている技術を伝えて、彼らに今後も夢を持って成長してもらえるように、僕自身実績を積んで役に立つ人間になりたいです。あと、やはり生産者ですから、おいしいもの、いいものを消費者に届けたいです。安心して食べてもらえる品質のいいものをこれからも作り続けたいと思います。その生き様はこれからも変わらないんでしょうね。

先ほども言ったように、急須離れしている人たちにどうやってお茶を飲んでもらうかが課題です。場所や雰囲気作りに取り組んで地道に努力していくことも大事だし、飲み方を考えることも一つです。ただ、いつまでも急須で飲まなくてはいけないということにとらわれる必要はありません。たとえば、ティーバッグでおいしいお茶を飲めるようにするといった工夫も必要です。流儀や飲み方はいろいろありますが、生産農家としてお茶をおいしく飲んでもらえたらそれでいいんです。

(取材:平成29年11月)

※掲載している記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

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