64本のボビンが魅せる世界

工芸作家(くみいとや綺羅)
吉良 學さん    きら まなぶさん

京都市生まれ。織物会社で働いた後、南丹市八木町で独立し、約25年が経つ。
南丹市工芸作家協会会員

「くみいと」とはどういうものですか?

一般的に「組紐」という言葉は知られていると思うのですが、私は糸が組まれている状態を見て、「くみいと」という言葉を使い始めました。色の違う糸を組んでいって、それを1本の糸として扱うのです。そして、それらの糸を複数使ってマフラーやストールなどの製品にしていきます。細い糸を何色も合わせて1つの色(糸)を作るのですが、ここの特徴としては、1つの糸に10種類くらい、少なくとも5、6種類を使っています。糸を合わせて、さらにそれを組んで作っているので、2度手間3度手間がかかるんです。糸も白いものを買って、それを染めてもらって使っています。出来ている物を買えばいいんでしょうけど、ほしいものがないので作ってしまうんです。

くみいとや綺羅の由来は?

古来より、絹織物には「綺」と称する綾絹と、「羅」と称する薄絹があり、総じて「綺羅」と言っていたことに由来しています。もちろん名字の「吉良」ともかけています。(笑)

くみいとを始めたきっかけを教えてください。

織物会社で一から育ててもらいました。新しいことにチャレンジする会社だったので、先輩と一緒に勉強しながら手探りで仕事を進めました。そこで基礎ができたと思います。おかげで、機械を直すことや調整も自分でできるようになりました。今では、ほとんどの会社で作業が細分化されていますが、一から全部学ぶことができたのはラッキーだったと思います。当時は、何でこんなことをしないといけないのかと苦しかったけれど、その経験が今の自分の宝になっているんだと思います。不況で会社が倒産してしまったので、得た知識と技術を持って独立することにしました。

製作期間はどれくらいかかりますか?

製品になるまでに約2~3ヶ月かかります。機械に糸を設置してしまえば、そこから先は早いのですが、それまでに、製図して、糸をそろえて、組み上げて、ボビンアップして、柄になるように並べて・・・。作業としては面倒な作業ばかりです。

手間をかけてまでする「くみいと」の魅力は何ですか?

どんなものができるかなという楽しさ、おもしろさがあります。なおかつ、手に取ってもらった方に喜んでもらえたら、こちらの喜びも倍増しますね。苦労した甲斐があったなと思います。

どんなところで販売されていますか?

クラフト展などで販売しています。マフラーやストールだけでなく、組んだものをアクセサリーなどにも加工しています。最近では、小ぶりのアクセサリー類が人気ですね。クラフト展に行ってお客さんと話をすると、いろいろヒントをもらえるので楽しいです。

今後の展望や目標をお聞かせ下さい。

ワークショップをすると、作品として完成はしなくても満足して帰られる方が多いんです。喜んでまた来たいと言ってもらえるんですよ。だから、今後、作業場を改修して教室を開こうと思っています。今は物をどんどん作ってどんどん売れる時代ではありません。多くの人に来て、見てもらって、口コミで一歩一歩広めていきたいです。これまでは、ワークショップをしても実際にここで作業をしてもらうわけではなかったけれど、ここで機械を触ってみたいという声が多かったんです。なので、環境を整えて体験を希望する方を迎えたいと思います。そんな中で僕自身も刺激を受けて、一生この仕事を続けていきたいです。そして、後継者が見つかればいいなと思っています。

南丹市の魅力を教えて下さい。

南丹市には工芸家が多いんです。その人たちと南丹工芸をもっと広めていきたいです。南丹市には各町それぞれたくさんの魅力がありますが、まだ、1つ1つの魅力がピックアップされていないように思います。南丹市というよりも美山町といった方がピンとくる人が多いのは残念ですが、これからも各町の個性を出しながら活性化できたらいいですね。

(取材:平成29年12月)

※掲載している記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。

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